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ポーティング(MVアグスタ)
ステムシール手配中。ヘッドのその他の部分を というわけです。ポートは、もとよりハンドグラインドで仕上げてあり、さすがMVといった感はあります とはいえそこは量産品、改良するところがあるわけです、当初、何も刃を入れずにOHをする予定でしたが、まじまじと見てたら手が勝手に仕事を始めた、でも改造にならない程度に、つまり設計者がこうあってほしいと思ったが量産であまくなった部分を思想どうりにするといった感じの事です。この車は、ヘミ(半球燃焼室)の初期の考えのレイアウト バルブマスキングを減らしバルブ全周に同量の空気(混合気)を吸わす、S/V比を小さく取り熱損失を減らす。今はこれとバルブのセンターをオフセットさせスワールを起こし、燃焼を促進させる場合が多い。スワールは水平の渦流で 4バルブの場合は縦の渦流(タンブル)に仕上げる事が多い。この車のは、2段の燃焼室なのでスキッシュで燃焼速度を上げようとしている。それらの特色をのばす方向でポートを切った、足りない断面積は界面層を薄くすべく磨き、カーブは吸気の剥離を押さえる角度にならす、シートは2番角以後の部分の形状に気をくばる、1番角から先も重要です。つまりポートは、単に吸気だけでは無く、燃焼、掃気まで考えて切る必要があり、やれ鏡面がいいとかザラザラがいいとかは、ナンセンス(面の仕上がりは、界面層のコントロールで使い分ける)で、大切なのは、形状(断面積の変化率)と方向と上部流と下部流の割合(タンブル、スワールの要因)だと思います。排気側も吸気と同じような形に切る人がほとんどだが、そうすると、トルクの谷が激しくなったり、中低速のトルクが減ったりで、戦闘力の低い(ロードコースで)エンジンに仕上がる事が多いです。それにしてもこの時代のイタリアの鋳造は、スが多いな~!



ギアトレンなんで(MVアグスタ)
この車の特長のひとつが、カムの駆動にギアを使ってる事、これって割と不自由なのだ、ヘッドの歪みとかの修正面研やヘッドボルトの締め具合でギアのバックラッシュが不適切になる、ひどい場合は、カムギアなんかが欠けたり、なめたりしてE/Gが壊れてしまう。この車、過去にヘッドG/Kがふいて(シャドーが出てる)ヘッドボルト(ナット)増し締がされてた(分解前にカムギアを調べておいた)と思われる、なので今回は、ヘッドが噴かない最低限の締トルク増ししつつ、適切なギアクリアランスを確保する必要があり何回も仮組み分解をくりかえし適切なシリンダーハイトを決めた(この場合バルブなどをヘッドに組んでおく必要はないよ)。シリンダー下部のOリングでオイルを止めるタイプなのでいわゆるベースパッキンは、パッキンよりシムというべき物です、これの厚み違いを作り対応しました、この場合、市販のガスケットシートは、逃げがあり向かず、通常の「紙」を使います。もうひとつ面白いのは、この車、クランク逆回転です、国産でも、ヤマハXV(TR1000)やCBXーF、CBRーFがそうですが(けっこう知らない人が多い)加速時のフロントの接地圧を上げる狙いがあったと思います。



あせるな(MVアグスタ)
シールが決まり、いよいよガイドとなります、ススが噛まないようによくクリーンしたガイドを朝からヘッドを温めて(106度)ガイドエキストラクターで抜きます、ナルホドさすが 抜く事も考慮して勘合部意外を0、3mmほど細くしてある、素材は鋳鉄だ。これですよ長く悩んだ部分は!スプリングシートを入れると突出部分で3、5mmしか出ないここにハイト7、5mm以内のシールをもうけなくてはならない(フルリフトでリテナーまで0、3mm)takaさんとさるお方の協力でみつけたシールに追加工をほどこし奇跡のクリアランスを実現、あとは、これを据えるべくガイドに加工を入れる。しかし言うは簡単だが行うは難し(鋳鉄は削る時に僕は胃が痛む)まず、バイト君(刃)を準備、スローアウエイのつっきりバイト、ほんの少し寸違い、「しかたない、バイト作らねば」鋼から荒取り、見た目はどうでもいいから刃だけ焼き入れ、手研ぎで仕上げ。旋盤にガイドを据えたものの、刃の具合を見てない、鋳鉄のテストピースを削らないと…失敗はゆるされないのだ、恐ろしいほど時間だけがすぎる。レーサーの作業の時みたいに特急で仕上げたいのだが…ま、昔の職人さんの言葉「段取り八分、仕事二分」にそってやるしかない。しかし、僕、工業出身じゃないんだよね、進学校なの、いつからこんな事できるようになったのかな?必要は栄養ですかね。


ガイド(MVアグスタ)
ガイドは、こんな感じで切りました、スプリングシートを取り付け、シールを取り付けるとこんな感じ(シートが回る事も肝心)。この形状なら、改良国産シールが取り付け可能だし、仮に後生の人が分解整備を行った際に(日本とも限らない)MV純正シールを使おうと考えた場合にも「プッシュオン」で取り付け可能であるし、「やはり、MVはEXバルブにシールがあってはならん」というマニアの方は、シールを外すだけで(全長はSTDと変わらないので)ストック状態と同じだけエキゾーストにオイルを排出させる事も可能となる、コンバーチブルガイド(大袈裟)ですじゃ。
最後の写真は、御協力いただいたバルブステムシールの皆さんです。さてさて、ガイド挿入です、ガイドを液体窒素で冷やし(ウソです見栄はりました)本当は、昨日 潤滑剤塗布後 冷凍庫に入れて冷やしてた、金属っちゃエライもんですな~、これで温めたシリンダーヘッドに指圧ぐらいで入るからねぇ、でも急がないとガイドが温まり固定されるよー!潤滑剤は挿入用というより冷えて固定される時の「ヒキツリ」を防ぎなるべく素直な位置に座らせる為、この後、シートカットをする(芯だし)。



バルブなど(MVアグスタ)
いまじゃあまり使われない技法がEXバルブにあります、画像では 解り辛いですが燃焼室側の部分が膨らんでます、チューリップバルブと呼ばれるもので、排気の抵抗を減らそうと考えられたものです が 効果に対するトレードオフ(自重増)のため今は使われていませんが こうなってる以上生かす方向で考え マージンからフェースのエッジを丹念に丸めて磨きます。コッターですが上ビードのフィックスタイプです、ビードは、同時期の日本車の多くが中ビードですが高回転で応力割れする事もあり現在はこの上ビードが主流をなします。バルブの止め方ですが二輪車はこのフィックスタイプ(ビード以外で支える)がほとんどですが四輪車には、フリータイプ(ビード上面と線接触)もあります(ポルシェ空冷機など)、これは、バルブの回転を司るものでシングルでレートの高いスプリングをセット荷重を低くして使うとバルブの線条磨耗が多く出るので これを防ぐためで 二輪はWスプリングが多いのでフィックスで回していこうと言うわけです。余談ですが一般論ではWのほうがサージングに強いとなってますがWだと慣性質量(バネ重の1/3)が増えかえって弱くなります、バイク乗りがいう「サージング」は実のところバルブジャンプやバウンズです、この先二輪もシングルばね、フリータイプへと移行するのでは、と考えます。

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